私の思い

まだ私が小さかった頃は今のように面白いテレビ番組もゲームもなく、幼い私は時間を持て余すとピアノのふたを開けてイス(当時は丸い回転イスでした)に座り、くるくる回りながら知っている曲を「今日はこの音から弾いてみよう」とか「今度は暗い感じにしてみよう(短調にするということなのですが、当時はこの言葉は知りませんでした)」など、自分で色々と試して弾いていました。

『ねこふんじゃった』は黒鍵をいっぱい使うGes durという調ですが、白鍵から始めるG durにすると拍子抜けするほど簡単だということも当時発見(?)し、自慢に思ったものです。のちに小学生となりこれが移調というものだと教わった時には、「あ、これは私のやっていたあの遊びだ」と懐かしく思い、それからますますピアノが好きになっていきました。和声なども理解していませんでしたが、小さな左手で和音を押さえて、「この音は変だな。こういう音にすると素敵だな。」と感じるまま自由に遊んでいました。

今でも弾きたい曲は山ほどあり、ワクワクしながらピアノに向かいますが、弾きたい曲が弾ける喜びをかみしめながら、幼いころからの「自分の遊び」を楽しんでいます。レッスンにいらっしゃる小さな生徒さんが当時の私と同じように、幼稚園や学校で習った曲を思い出して音を探しながら一生懸命に弾いているのを見ると大変嬉しくなり、一緒に音を探したり、伴奏をつけたりしています。生徒の皆さんにはいわゆるピアノ教本の曲だけでなくこのような遊びの体験をたくさん重ねて、ピアノという素敵な楽器を弾く喜びを味わってほしいと思っています。

「レッスンのある日が楽しみ」そんなふうに思っていただけるよう心掛けています。
皆さまとの新しい出会いを楽しみにしています。